令和4年度 農福観連携6次産業推進活性化事業

実績のご報告

沖縄北大東島

農・福・観 連携 6次産業推進活性化事業 〜ココロも潤う地域づくりを目指して〜

 北大東村では農業と福祉、観光と福祉が連携することで、経済だけではなく、こころも潤う地域づくりを目的に「農福観連携6次産業推進活性化事業」を行ってまいりました。
 地域での障がい福祉事業を推進するため、2019年12月に(一社)北大東島振興機構内に就労継続支援B型事業所「ソーシャルギア・北大東」を設置しました。
 今年度も、農業や観光分野で就労支援と島での暮らしを希望する6名の実習生のみなさんを島に迎え、仕事体験と生活体験を行いました。島の暮らしを知ってもらい、私たち地域の一員として、島で暮らせる可能性を探るための実りある実習となりました。

ディーラボ・北大東島振興機構共同企業体
2023年3月

事業の背景

Background

 農福観連携6次産業化推進活性化事業は、いまから9年前の2014年「じゃがいも焼酎ぽてちゅう」を生みだした「チーム北大東」の特産品開発事業が原点で、JAおきなわ北大東支店の「じゃがいもの規格外品をなんとかしなければ」という課題がきっかけとなっています。
 チーム北大東は、コープおきなわ、久米仙酒造、オキハム、協進食品など島外企業のみなさまと、JAおきなわ北大東支店、村役場で構成されていました。じゃがいもの規格外品を有効に活用する方法を検討している中で、「障がいを持った方々にも、農業と観光を中心に島で働ける環境づくりを行い、地域の活性化を図ろう」という新たな目的を掲げることになり、「社会福祉事業の可能性を検討する地域協議会」において、地域のみなさまで話し合いを行った結果スタートした取組が、本事業です。
 農業、観光業に限らず、様々な分野で、障がいのある人も、ない人も、共に暮らせる地域を目指していきましょう。

まずは島を知ることから

Discover

就労体験実習短期滞在プログラム実習概要

【実施日程】
2023年2月16日(木)~3月1日(水)
【参加人数】
5名(沖縄県内4名、大阪府1名)
【実習内容】
パパイヤ圃場の整備 パパイヤの加工作業 じゃがいも圃場での収穫作業 ハマユウ荘での客室清掃作業 陸上養殖施設での生け簀の清掃作業 月桃加工施設での葉の選別作業 福祉まつりでの商品販売

 就労体験実習の短期滞在プログラムでは、初めて北大東島へ来島する方を対象に6泊7日の日程で実習を行いました。短期滞在プログラムでは、まず最初に「北大東島を知ること」を目的に、島内視察や島内の農業・林業・水産業・観光業といった様々な産業をリレー形式で体験していただきました。

 今回の実習では沖縄県内から4名、県外から1名参加し、このうち県内3名が実習受入れで初めて、沖縄県立沖縄高等特別支援学校の二年生の皆さんが参加しました。就職や進学を考える中で、今回の実習を通して北大東島での就職に意欲を示した生徒もおり、今後は学校と連携を行い、就職先の一つとして北大東島の選択肢を作っていけるよう取り組んでいきたいと考えています。

実習体験者の声

沖縄県 Oさん

小さい島だけど、いざ住んでみると大きな島だなぁと思いました。島の人たち一人一人が島のために頑張っていることに気づいて、とてもすごいと思いました。また自分ももっと大人になってまた来たいです。

沖縄県 Kさん

優しい方々がたくさんで、この島で尊敬できる人に会えて僕はこの実習に来れて幸せでした。 

沖縄県 Aさん

とても小さい島ですが、やさしい人がいっぱいいて過ごしやすいと思いました。

沖縄県 一般参加Nさん

もし、北大東に住むんであって加工所で働きの募集があればここで働いてもよいなと感じた。

大阪府 一般参加

沖縄で北大東自体にあまり行く機会はないので新しい発見が多すぎて書ききれません。

沖縄県立沖縄高等特別支援学校のみなさん
実習生 支援担当 ディーラボ株式会社 屋良 朝香

 参加者が一つ一つの作業を一生懸命に取り組む姿勢に、人それぞれ個性や特徴、長所や短所があるように対一人と向き合えばその人にしか出せない魅力や強みがあり、その強みを活かせる役割を提供することでwin-winの就労ができると今回の実習を経て改めて感じることができました。マッチング次第で、即戦力として働ける人がいて、そして即戦力を必要としている仕事が北大東島ではあると感じたため、北大東島での障がい者福祉の可能性を探る大きなヒントを得ることができたと考えています。

島での暮らしに挑戦!

Challenge

 体験実習では、就労体験実習プログラムBを体験した後に改めて島に長期滞在しソーシャルア・北大東への利用者として移住定住を希望する方を選抜し、北大東村での農福観連携の取組み、ソーシャルギア・北大東の役割を深く理解し利用者としての最終判断をする目的で取り組みました。

実習体験者の声

クリーニング施設でシーツプレス

 北大東島へ来島した時はどのようなお仕事が待っているのかとても楽しみ、不安もありましたがスタッフの皆さまが優しく業務を教えてくださり、楽しくお仕事ができました。
 業務内容としては、午前中:朝食用の食器洗い・客室清掃(内容は様々)、午後:洗車、空室(クーラー清掃・窓洗浄)。リネン室(タオルたたみ)・クリーニング(軽度なプレス)作業と幅広く実習を指導してもらい今後の就職活動に役立ちとても良かった。

実習生 支援担当(一社)北大東島振興機構ジョブコーチ 仲嶺 初音

 村が推進している農福観連携事業の「観」は、ハマユウ荘新館運営が主であるが、運営母体である(株)黄金山の経営が新体制に移行される時に、同事業の目的が十分に引継がれていないこともあり、障がいのある方々の受入れについては、当初、十分な理解が得られない状況がありました。しかし、実習生が就労を重ねる内、コツコツと丁寧に自ら進んで、段取り良く仕事する姿に、同社代表取締役社長から「真面目で非常に助かりました。本人の希望があるなら是非ハマユウ荘へ就職するよう促した。」との評価を得るまでに理解していだいたことがとても嬉しかったです。

6次産業化に向けて

農福観連携6次産業化推進活性化事業では、農作物の生産→加工→販売の各段階で、障がいをもつ方々が活躍できる可能性も探っています。
 試みとして2021年に実習でパパイヤの種をまきました。今年はその実を実習生が収穫し、スライス、乾燥して漬物に加工、さらに2月に行われた福祉まつりで販売の実習に挑戦しました。

今後の観光振興にも

 村では2022年6月に「北大東村観光振興基本計画」を策定しました。目標のひとつに「島の産業連携の要として観光業を育てる」とあります。観光業を農業、水産業、商業、サービス業と繋げていく中で、障がいを持つ方々の活躍の場があります。その可能性も実習で探りました。

より島の日常を感じて

 島の日常には、他地域では経験のないことがたくさんあります。短期間の中でも、より多くの島の日常を経験してもらう取組も行いました。
 余暇の過ごし方として、地域スポーツセンターでのバドミントンや港での釣り、グランドゴルフにも参加させていただき、短い時間ですが、地域の方々との交流も実習に盛り込みました。

就労体験実習の成果は

 令和元年より開始された就労体験実習では、今年度で累計41人の実習生を受け入れました。その中で、中長期で島に定住し働いた実習生は4人。
 過去実習に参加されたみなさんの中には、実習経験が、人とのコミュニケーション改善や就労意欲喚起等、就職や日常生活に役立っているようです。
 また、今回の実習では、沖縄高等特別支援学校から初めて高校2年生に参加してもらいました。学生のみなさんにも、これから進路を考える上で、今回の実習がとても役に立ったようです。

【受入協力】
(株)黄金山・北大東村馬鈴薯生産部会・月桃加工施設・陸上養殖施設・北大東村老人クラブ・北大東村水産組合(順不同)
【実習協力】
サテライトオフィス平野・沖縄県立沖縄高等特別支援学校(順不同)
委託事業
令和4年度農福観連携6次産業推進活性化事業
発注者
北大東村役場
委託業者
ディーラボ・北大東島振興機構 共同企業体
発行月
2023年3月